concubine
底冷えのする京の夜の底を、一人の男が歩いていた。
年の頃は四十程に見えるが、実際のところはまだ三十路にさしかかったばかりだ。一つ年下の朋友と同世代とは思えないと常に評される、中年じみた、朴訥な顔立ちをしていた。
もう師走だというのに、この時分には珍しく、雨が降っていた。それが羽織や袴の裾を濡らし、脛に纏わりついて男の体を芯から冷やした。いっそ雪であってくれればよかったものをと、心中嘆息する。
男は、己の別宅の一軒に向かって足を進めていた。彼の保有する中で、最も小さく古く質素な家へ。
今そこに住まう者はない。だが、近づくにつれ、その小さな家に灯りがともっているのが見えてきた。男はそれを訝しまなかった。
からりと戸を開けると、ぬるい空気が顔に触れた。
「お帰りなさい」
慣れ親しんだ出迎えの言葉と笑顔を、男――近藤勇は、複雑な表情で受け取った。
入ってすぐのうちは仄かになりとも暖かみを感じた室内であったが、慣れてしまうと、やはり冷え冷えとしている。
火鉢には切炭が活けてあり、その上で鉄瓶が湯をたぎらせていた。
この家は、普段は空き家になっている。ただ、家主の近藤は、十歳年下の古馴染みである沖田総司に、家の合い鍵を預けてあった。
沖田は、ときどきここを訪れては、掃除や庭の手入れをしているようだった。そして不思議なことに、たまに気が向いてふらりとこの家に立ち寄ると、決まって沖田が部屋に灯りを入れ、部屋を暖め、食事の支度をして待っているのだ。
この夜もやはりそうだった。近藤が居間に腰を落ち着けて程無く、沖田が膳を提げて現れた。
夕餉の間もその後も、彼らは無言だった。
語らいのない室内は静まり返っている。雨の音と、鉄瓶の鳴る音ばかりが耳につく。
どれくらいの時をそうして遣り過ごしていただろう。不意に沖田が口を切った。
「そろそろ、休まれますか?」
それは、沖田なりの誘い文句なのかもしれない。だが近藤は、そう確信するほど己惚れてはいなかった。いつも、より決定的な言葉を待つ。
そんな彼の心中を知ってか知らずか、近藤が反応を返さないのを見て取ると、次はもっと直截な台詞を寄越してきた。
「抱いて下さい」
否定の意思を示されないことを承諾と捉えたのか、沖田は、襖で仕切られた続き間の寝室に入っていき、自ら衣服を解き始めた。
近藤は動かなかった。黙ったまま、じっと沖田の所作を見遣っている。
「なあ総司」
はいと愛想よく答えて振り向いた沖田は、もう襦袢一つになっていた。
「歳のことは、いいのか?」
その問いに、沖田は答えなかった。そして無言のまま居間に戻ってきた。
何を考えたか、鉄瓶を取った。もうぬるくなっているであろう湯を湯呑みに注ぐ。それを掌で抱え込んで、唇の先だけをつけた。
「冷えますね」
心為しか、伏せた睫毛が、指先が、唇が、戦慄いているように見えた。
心無い行為だとは、自分でも分かっている。他に思い人がいる者を、そうと知りながら抱くなど。
それでも彼は、沖田を拒めなかった。
近藤は、彼らが休息所と呼ぶ別宅を幾つか所有し、それぞれに妾を囲っていた。
囲っているといっても、ただ住まわせているだけである。妾というからには男女の情交があって然るべきだが、彼女らに体を求める気にはなれなかった。
武士として取り立てられ、組織の長となった頃のこと、近藤は、付き合い方々島原に出入りするようになった。
ここで色町の女を知った。耳元でささやかれる「お慕い申しとります」という言葉に、有頂天になった。
だが、いざ彼女らを抱く段となって、その言葉に誠など欠片もないことを思い知らされた。睦言を口にしながらも、近藤を見る女達の眼は決まって冷淡だった。
そこで彼は、出世の結果転がり込んでくるようになった金を、女のために費やした。有り体にいえば、貢いだ。
色町では、幕府や藩の役人はとかく疎まれ、お尋ね者の志士連中が女郎達にもてる。お上に追われ明日の命をも知れぬ境遇が、彼女らの同情をひくらしい。進んで討幕活動を援ける女郎も多くいた。近藤の金は、回り回って彼の敵の懐に収まっていったことだろう。
ある日、女郎を一人、落籍した。小さな家を買い、そこへ女を迎え入れた。女は、家が粗末であることに不満を漏らした。近藤は、女の希望通りの家を建て、そこに彼女を移した。女はそこで数ヶ月を過ごした後、他に好いた男が出来たと言って出ていった。
それでも彼は、相変わらず女郎達がささやく愛の言葉に酔い痴れ、懲りもせずに貢ぎ続けた。容姿も才気も今一つ、女を魅了する要素など何も持ち合わせていないこの愚直な男は、それ以外に女の愛し方を知らなかった。
何人もの女郎を落籍した。そして囲うに際しては必ず一つの条件をつけた。「他に好きな男が出来たなら、いつでも出ていってくれていい」と。
その夜は、ちょうど妾の一人を送り出したところだった。強い雨の降る中、屯所へ戻る途上で、沖田の姿を目にした。
沖田は傘を差していなかった。あわてて呼び止め、傘の下に入れてはやったが、案の定ずぶ濡れになっている。
「俺の休息所が近くにある。とにかく、そこで体を温めよう」
沖田を連れてきたのは、件の元妾宅である。用済みになった後も時折一人で過ごすために使っていたから、必需品は備わっていた。
それで沖田は燗酒を調えてくれた。沖田を保護するために家に入れたはずが、なぜか彼の方が近藤のためにせっせと立ち働いている。先程も、遅くなりそうだからと、屯所に使いを出すために表に出ていたし、今は今とて隣室に布団を敷いているようだ。
作業を終え居間に戻ってくると、近藤の横にぺたんと座って、酒を差してくれた。そして、酌をしたり酒をつぎ足したりと、あれこれ世話を焼きながら、近藤の話に耳を傾けていた。
また妾に逃げられたと、愚痴のように近藤はこぼした。酒のせいか、孤独のためか、いつになく饒舌になっていた。
「何が悪かったんだろう? 不自由のないようにしてきたつもりだったんだがな。
望まれた通り、金を出して、欲しいものを買って、家を用意して……」
そこまで喋って、口をつぐんだ。「あれだけ貢いでやったのに、裏切りやがって」。そんな卑しい本音が自分の言葉の端々から漏れ聞こえてくるようで、いたたまれなかった。
「……そもそも、金で愛情を贖おうなんていうさもしい考えが、いけなかったんだろうな」
近藤をじっと見つめていた沖田が、酒次を置いて口を開いた。
「きっと、近藤さんは相手の方達を愛していたんです。愛していれば、相手に与えたい、尽くしたいと思うでしょう? 近藤さんの場合、それが金品という形をとったんだと思います」
近藤にとっては思いがけない言葉だった。思わず沖田の方に向き直って、問い返した。
「そうだろうか」
「私はそう思います。
でも、それが報われるとは限りませんよね」
「そうか……」
少し目を伏せて答える沖田は、どこか寂しげに見えた。沖田も何かしら報われぬ思いを抱えているのだろうか。そう思い至ると、同じ報われなさを二人で共有しているような気がしてきた。
「寂しいな」
それが、近藤に心底の弱音を漏らさせた。沖田は黙って彼を見つめている。そして唐突に、こんな突拍子もないことを言い出した。
「だったら、私を抱いてみませんか?」
自分では分からないが、相当長いこと無反応なまま硬直していたのだろう。気がつくと、沖田が不思議そうな顔をして、首をかしげてこちらを見ていた。
「あー……ここで動揺でも見せようもんなら、向こう三日間ぐらい、お前と三馬鹿連中の笑いのネタにされる、ってところか?」
「もうっ、ひどいなぁ近藤さんってば。私、真面目に言ってるんですよ?」
「ああ、そうか? えーと、すまんかった」
取り敢えずしどろもどろに謝ることしかできない。
「何も、お妾さんに据えてほしいとか、ずっと関係を続けてほしいっていうわけじゃないんです。
近藤さんの傍にいてくれる人が見つかるまででもいいですし、それこそ、今をしのぐだけの一夜限りだって……」
「総司……?」
この時、一つの疑問が脳裡をよぎった。それを近藤は、あえて無視した。無視して、振り切るように、差し出された肌に手を触れた。
明くる朝は、さわやかな光の中で目を覚ました。
心地良い目覚めも束の間、眼前の光景に仰天する羽目になる。なにせ、自分の傍らで裸体の沖田が眠っているのだ。そしてその光景が、前夜の己の所業を厭応なしに思い出させた。
夢であったのだと思いたい。だが、覚醒するにつれて鮮明になっていく記憶と、互いに素裸で床に入っているという状況が、それを許さなかった。
そうこうするうち、沖田も起き出してきた。次第にその表情がこわばっていく。
「酔った勢い」などという陳腐な言い訳で済まされることではない。どうしたって償えるものではないが、とにかく、土下座でも何でもして、詫びねばならない。
腹を括った。だが、近藤が詫び言を吐くより早く、沖田の方が端坐して手をついた。
「昨夜は済みませんでした。近藤さんが弱っているのに付け込むような真似をしました」
近藤は狼狽した。慌てて頭を上げさせ、沖田が何を言いたいのかを問うた。だが、幾度問い直しても、沖田は非を詫びるばかりで要領を得ない。
「だが、お前は俺がふられて悄気ているのを見かねて、その……体を差し出しまでして俺を慰めてくれたのだろう? こっちが礼だか詫びだかを言うべきであって、お前が詫びるところじゃないだろう」
「いいえ、そうじゃない……少なくとも、それだけではないんです。私は……」
「もういい」
沖田の言葉を、強引に打ち切った。
「俺は、昨夜のことを嬉しく思っている。ただ、お前を傷つけはしなかったかということだけが心配だが、俺自身にとっては本望だ」
「本当に? 本当にそう思ってくださったのですか」
「ああ、本当だとも。願ったり叶ったりだ。だから、もう気に病むのはやめなさい」
沖田をなだめるために並べた台詞は、出まかせというわけではなかった。実のところ、近藤にしたところで満更ではなかったのだ。
誰でもいい。寄り添ってくれるなら誰だってかまわない。それが、気立てが良くて気心の知れた沖田なら、万々歳ではないか。
どんな理由であれ、もし沖田が近藤との交わりを望んでいるというなら、近藤に拒む理由は何もなかった。そしてそれゆえに沖田との関係を絶てぬまま、今日までを過ごしてきた。
事を終え、初めて沖田を抱いた夜のことなどを思い起こしながら、近藤は床の中でぼんやりと過ごしていた。
ふと、眠ったと思っていた沖田が、腕の中で身じろぐのを感じた。
「眠れないか?」
まどろみかけた子供のように、何も言わないまま、こくりとうなずいた。
寒さのせいかもしれない。そう考えて、沖田の手に触れた。
「少し冷えているな」
温めてやろうと、両手の指を自分の手の中に握り込んだ。すると沖田は、ふにゃりと笑って、仔猫のように頬をすり寄せてくる。その幼げな仕草に、思わず目を細めた。
「気持ちいいか? じゃ、これはどうだ?」
案の定冷えていた沖田の足を、両足で挟んでやった。きゃっと小さな悲鳴をあげて、それでも「あったかいです」と顔をほころばせた。
そういえば、子供の頃にもよくこうしてやっていたか――。
そんなことを思い出した。もしかしたら沖田も同じことを考えているのかもしれない。そう思ったが、それは口に出さずにしまった。沖田も何も言ってこなかった。
女達は、金銭と自由を求めて近藤に抱かれた。では沖田は、一体何を求めているのだろう。
快楽に溺れているなどということは考えられない。抱かれる時、沖田はいつも、自分の下で身を固くしているばかりだった。
固より近藤が枕事の技巧など備えているはずもない。なるべく苦痛のないように気遣ってやるのが精一杯で、時には身体を傷つけてしまうことさえあった。
沖田は自分を慕ってくれている。その程度は信じてもよいのだろう。だが、それはあくまで父か兄に対するような感情だ。
沖田の恋心は、彼の友である土方歳三に向けられている。そう表明されたわけではないが、この見立てには自信があった。かれこれ十年以上にわたって、傍で二人を見守り続けてきたのだから。
時々、ふと考える。沖田が自分に抱かれたのは、土方を思い切るためなのだとしたら? あるいは、自分に抱かれながら、その脳裡に土方を思い描いているのだとしたら?
そう考えてみても、沖田を責める気にはなれなかった。むしろ、その想いを成就させてやりたいとさえ思う。二人はともに、近藤にとって大切な朋友と弟分なのだから。
――歳のことは、いいのか?
これまで幾度か繰り返してきたはずのこの問いに、沖田はどう答えたのだったか。笑ってはぐらかされたような気もする。「いいんですよ、土方さんなんて」という答えが返ってきたような気もする。いずれにせよ、土方に添いたいと答えたことはない。
あるいは、問うたつもりでいて、本当のところは今日まで一度も問うていなかったのか。
(矛盾している)
沖田を抱くべきではないとは、自分でもわかっている。それなのに沖田を突き放せないのはなぜなのか。
憐憫、寂寥、恋情、情欲……思い浮かぶ要因はどれも当たっていて、そしてほんの少しずれている。
ここまで考えて、思考はまた初めに戻る。ならば沖田の方は、何を求めているのだろうかと。
「土方さんと私は、何でもありませんよ」
まるで近藤の思考を読んだかの如くに、沖田が言い出した。
「近藤さんは、心配? 私が、近藤さんを置いて他の男の人のところへ行ってしまうんじゃないかって、心配ですか?」
答えは返らない。沖田は身を起こし、傍らで床に就いている近藤を見下ろした。
「そんなに心配だったら、いっそ私を囲っちゃいませんか?」
「……囲う?」
「そう。このおうちに私を閉じ込めて、お仕事にも出さないで、私を、近藤さんだけの私にしちゃうんです。
ね、そしたら近藤さん、心配じゃないでしょう? 私、甲斐甲斐しく尽くすお妾さんになっちゃいますよ?」
近藤はなお答えない。口を開こうとすると、否定の言葉が出そうになった。違う、そうじゃない、と。そんなことを望んだのではない、と。
「なあ、総司」
それを抑えると、代わりに最前までの疑問が口をついた。
「お前は俺に、何を求めている?」
もし近藤に、自身の心裡を的確に捉えるだけの明晰さがあったなら、己の問い掛けをこう言い換えていただろう。
――俺はお前に、何を与えられる?
だが、言葉にならぬ問いに、答えが返る由もない。
「じゃあね、近藤さん」
甘えた声が、彼の名を呼ぶ。
「私、冷えてきちゃいました。もう一回、抱いて下さい」
指先が頬に触れた。さっきあたためてやった手は、もう水のように冷たくなっていた。
雨音はまだ止まない。夜の底が、しんしんと冷えてゆく。
<おまけ>
部屋に染みついた煙草の香りに、別の匂いが紛れている。それに気付いた沖田は、あえて煙草のそれに意識を向けようとした。
入室の礼もそこそこに、さっそく部屋の主である土方との打ち合わせを始める。沖田が敵を斬ることに話が及んだ時、土方の眼差しが変わったのを、沖田は見逃さなかった。彼の目と部屋の匂いから逃げるように、最低限の事務的な遣り取りのみを交わして、室を辞した。
眺めやった庭先では、中天の月を従えた桜が、今を盛りと咲き誇っている。人気のない廊下に佇み、肌寒いのか、打掛のように着崩した重ね小袖の衿を胸元で掻き合わせて、月と桜とを見上げる様は、さながら一幅の画に描いた妓楼の光景のようだ。知らぬ者が見れば、とてもそこが一京を震撼せしめる新撰組の屯所だとは思えないだろう。
遠くから宴の喧噪が聞こえてくる。だいぶ座が乱れてきた頃であろうから、おおかた下世話な話題で盛り上がっているのだろう。沖田が宴席にいた時にも、本人らがその場にいるにもかかわらず、こんな噂話がまことしやかに語られていたものだ。
副長である土方歳三と、一番隊隊長沖田総司は、恋仲である。
確かに、土方に対して恋心を抱いていることは、否定できない。だが実際には、沖田は、土方ではなく局長の近藤の愛妾であった。
その立場に不満はない。それは自分で選んだことなのだから。
初めて近藤に抱かれた時、彼はちょうど何人目かの妾に逃げられ、打ちひしがれていたところであった。それを知った沖田は、彼にある提案をした。
「私を抱いてみませんか?」
それは、近藤の心の隙に付け入る提案だった。案の定、弱っていた近藤は、その提案にあっさりと乗った。
近藤との交わりは苦痛をともなうものであった。それでも彼は、事を終えた後、まるでそれがご褒美であるかのように、沖田の頭を掻き撫で、抱きしめてくれた。
彼の腕の中で感じるぬくもりと匂いは、沖田に安らぎを与えてくれた。彼もまた、沖田の隣で安んじて眠っていた。その様を見ると、胸の奥から溢れるようにいとおしさが込み上げてくるのを、沖田は感じていた。
爾来、彼らは体の関係を続けていた。
桜に背を向け、今度は近藤の部屋を訪れた。在室していた近藤にしなだれかかり、首元に顔をうずめた。
「どうした? 甘えただな」
「だって……好きな人の匂いって、落ち着くんですよ、とっても」
土方への恋心がないと言えば嘘になる。だが、沖田は土方に抱かれる気はさらさらなかった。そんなことをすれば、たとえそれが自ら申し出たことであっても、土方は、先程と同じ眼差しを――沖田の献身に対する勝手な悲嘆を、ありありと浮かべた目を向けてくることだろう。
肌身を許す相手をもつなら、自分を求めてくれる者がいい。そんな思惑から、寂寥を抱えた近藤を誘った。そして近藤の妾であることを選んだ。
だからこそ、土方の匂いに触れたくはなかった。それに安らぎを感じてしまえば、二度と近藤に心を預けることはできなくなるような気がしたから。
それに、土方はやがて、近藤にとっての沖田のような相手を見出すはず――この時、沖田はそう感じ始めていた。それは何ら根拠のない、予感めいたものだった。沖田はあまり勘や直感の類を信じない質だ。だがこの一事にかけては、自分の予感が当たることを、なぜか確信していた。
「今日はごめんなさい、あんまりお酌できなくて。今からっていうわけにも、いきませんしね」
「そういえば、一番隊は今から出動か?」
「はい、土方さんの援護です。島原の輪違屋脇に。土方さんも、もうじき出かける頃だと思います」
それを潮に、「私もそろそろ」と立ち上がる。
「そうか……気を付けてな」
「ええ。ちゃんとできたら、後でいっぱい撫でてくださいね」
他愛ないやりとりを障子で断ち、沖田は歩み出した。ようやく温み始めた、春たけなわの宵闇の中へ。
異聞1巻(スクエニ版)41ページ下段の2コマを見て、こうツッコみたくなった方はいらっしゃらないでしょうか。「妾はあんただ!!」。 そんな彼らの第一印象に忠実に展開してみた妄想が、この文章です。色モノここに極まれり。 |